
靴磨きが高級になりすぎたから、もう一度日常に引き戻してみました。
ここ数年、靴磨きの料金は全国的に上がり続けています。
はっきりと言いますが、原価の高騰以外の理由が大きいと思っています。
もちろん、職人の技術には正当な対価が支払われるべきです。
でも、その“当たり前”が、かえって靴磨きを「特別な贅沢」にしていないか──。
僕は、そう感じました。
靴磨きって、本来もっと気軽に頼めるものでよかったはずなんです。
「また履くから綺麗にしておこう」とか
「あの人に会う前に手入れしておこう」とか
そんな日常の中のひとコマにあっていいものだったはず。
でも、価格が上がれば上がるほど「特別な日だけ」「本当に必要な時だけ」になっていく。
その流れはお客様だけではなく、この仕事の未来にとってもいいとは思えませんでした。
全国の靴磨きサービスを行なう者が、みんな“夢の国”を目指す必要はないと思うんです。
誰もがディズニーランドにならなくていい。
そこにしかない体験もあれば、もっと気軽で、もっと生活に寄り添う靴磨きもあっていい。
だから僕は、靴磨きの料金を大幅に値下げすることにしました。
あえて、業界の相場に背を向けてみます。
もちろんリスクはあるし、「安すぎる」と言われることもあるでしょう。
でもこれは、単なる値下げではありません。
“想いある価格改定”です。
毎日は夢の連続じゃない。けれど、毎日を気持ちよく歩くために。
僕が目指すのは“玄関先の靴磨き”。
はじめて自分の靴を磨いた玄関先でのあの感動。
ライトアップも、アトラクションもいらない。
ただそこにあって、日々の出発を整える存在でありたいと思っています。
靴磨きを、もっと身近に。もっと自由に。
そのための、小さな革命だと思っています。
この価格が、誰かにとって“背中を押される一歩”になれば嬉しいです。
「特別な日だけじゃなく、いつもの日にも靴を磨こう」
そんな気持ちが広がっていく未来を目指して、今日もブラシを握っています。







